女性に必ず訪れる更年期には、身体的にも精神的にもさまざまな症状が現れます。
そのひとつに、「乾燥」があります。
更年期に感じる乾燥は肌に限らず、口や目、髪、デリケートゾーンなど全身に現れるため、対処に悩む方が多いようです。
今回は、更年期の女性が乾燥に悩まされる理由と今すぐに始めたい対策についてご紹介します。
1.更年期の女性が乾燥に悩まされるのはなぜ?
更年期の女性が乾燥に悩まされる背景に、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の急激な減少があります。
というのも、「エストロゲン」には肌や粘膜などに潤いを与える働きがあり、それが減少することで皮膚や粘膜などの潤いが失われ、乾燥を引き起こします。
それに加え、更年期になると唾液の分泌量が減ったり、眼精疲労が起こりやすくなったりします。
その結果口や目もより乾燥を引き起こしやすくなるのです。
2.更年期の乾燥を少しでも軽減するために今すぐにとるべき対策
更年期の乾燥の大きな原因に「エストロゲン」の減少があることがわかっても、それを増やして乾燥を改善することはできません。
それでは、更年期の乾燥を少しでも軽減するためにはどのような対策をとったらいいのでしょうか。
全身への対策としては、ヒアルロン酸やセラミドなどの成分が配合されたサプリメントを摂取する方法もありますが、パーツごとに対策をとっていく必要があります。
詳しくご紹介していきましょう。
①目の乾燥
更年期に「エストロゲン」が減少すると、涙の分泌量が減ったり、涙の質が低下したりしてドライアイを引き起こすことに繋がります。
それに加えて、加齢により目の粘膜が弱くなる、PCやスマホを長時間使用して目の緊張状態が続く、 コンタクトレンズの使用、室内の乾燥、ストレスなども目の乾燥に拍車をかける要因といわれています。
ドライアイは自分で気がつかずに進行していることもあり、注意が必要です。
以下のような症状が当てはまったら、ドライアイを疑い、眼科を受診されることをおすすめします。
・目がゴロゴロするなど違和感がある
・物が霞んで見える
・目が充血している
・涙が多く出る
ドライアイへの対策としては、点眼薬を使用する、部屋の湿度を最適に保つ、PCやスマホなどの長時間の使用は避けて適度な休息をとる、 ストレスを溜めないといった対策がおすすめです。
②口の乾燥
更年期には「エストロゲン」の減少や自律神経の乱れなどによって、唾液の分泌量が減りドライマウスを引き起こすことに繋がります。
ドライマウスになると、下記のような症状が現れます。
・口の中や喉が乾く
・舌がピリピリする
・食べ物が飲み込みにくくなる
・口の中がネバネバする
・口臭が気になる
・食べ物の味を感じにくくなる
・しゃべりにくくなる
ドライマウスへの対策としては、こまめに水分を補給する、カフェイン飲料やアルコールなど利尿作用のある飲み物の摂取は控える、 ストレスを溜めない、ガムなどで唾液の分泌を促すといった対策がおすすめです。
また、歯科医院や口腔外科を受診するとそれ以外の対策についてもとることができ、対策の選択の幅が広がります。
このほか、口臭対策としてマウスウォッシュの使用や口臭を予防する効果のあるドロップの服用、舌のクリーニングといったものもあります。
できること、続けやすいことから始めてみましょう。
③肌の乾燥
更年期に「エストロゲン」が減少すると、肌の潤いやハリが失われます。
それに加えて、更年期には皮脂量も減少するので、肌が乾燥しやすくなります。
肌が乾燥すると肌老化が進行しやすくなるだけでなく、肌のバリア機能が低下して肌荒れやかゆみなどを引き起こしやすくなるので注意が必要です。
肌の乾燥対策として最も大切なのは、しっかりと保湿することです。
そして、肌のバリア機能を高め、外的・内的刺激に負けない健やかな肌を育みましょう。
その前提として、まずはその日の汚れはその日のうちにしっかりと落とす習慣をつけましょう。
毎日の洗顔やクレンジングを丁寧に行うことで古い角質を溜め込まず、肌のターンオーバー がスムーズに行われて保湿成分がなじみやすい肌の土台づくりを行うことが大切です。
とはいえ、洗浄力が高い洗顔料やクレンジング剤を常用していると肌にとって必要な潤いまで奪ってしまうことに繋がります。
保湿成分がたっぷりと配合されている洗顔料やクレンジング剤を使用したり、洗浄力の高いクレンジングオイルなどはしっかりメイクの時だけにしたりするなど工夫しましょう。
そのうえで、保湿成分が多く配合された化粧品を使い、肌をしっかりと保湿しましょう。
油分が足りず乾燥していることも考えられるので、肌の状態を見ながら化粧水、美容液、乳液、クリームの4ステップでのケアや美容オイルの投入もおすすめです。
また、シートマスクやパックなどでスペシャルケアを行うのもひとつの手です。
そうして、肌のバリア機能を高めるケアを続けましょう。
肌が乾燥していると紫外線の影響を受けやすくなります。
そのため乾燥が気になった時こそ特に入念に紫外線対策を行うことも重要です。
④頭皮や髪の乾燥
更年期には「エストロゲン」の減少に伴い、頭皮や髪も乾燥しやすくなります。
特に頭皮は乾燥からバリア機能が低下してかゆみを引き起こすことがあります。
かゆみが気になると爪を立てて掻きたくなるかもしれませんが、頭皮を傷める可能性があるのでやめましょう。
かゆみがひどい場合や赤み、湿疹を伴う場合には皮膚科を受診し、頭皮の病気ではないかどうか確認することも大切です。
毎日使用するシャンプーは保湿力が高いものを選びましょう。
頭皮も保湿する必要があるので、エッセンスや育毛剤などの使用がおすすめです。
このほか、頭皮は紫外線の影響を受けやすいにも関わらず、紫外線対策をとっていない方が多いようです。
頭皮にもスプレータイプの日焼け止めを塗り、帽子や日傘を併用することで紫外線から頭皮を守りましょう。
ドライヤーで乾かす際には頭皮にドライヤーを近づけすぎない、高温モードで頭皮を乾かさないといったことも心がけましょう。
また、ドライヤーを使用する前にアウトバス用のトリートメントなどを使用し、ドライヤーの熱から髪を守ることも髪の乾燥対策になります。
⑤デリケートゾーンの乾燥
更年期には「エストロゲン」の現象で粘膜の潤いも失われます。
その結果デリケートゾーンも乾燥しやすくなります。
デリケートゾーンが乾燥すると、痛みやかゆみなどの症状に悩まされ、下着による摩擦などでそういった不快な症状が進行してしまう場合があります。
デリケートゾーンの乾燥対策としては、デリケートゾーン専用の石けんで優しく洗浄する、骨盤底筋のトレーニングを行うといった方法もあります。
このほか、専用の保湿液などを使うと、手軽にデリケートゾーン を保湿でき便利です。
婦人科を受診し、相談してみましょう。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、更年期の女性が乾燥に悩まされる理由と今すぐに始めたいベストな対策についてご紹介しました。
ご紹介した症状については必ずしもすべてが更年期の症状とは限りません。
中には重大な疾病が潜んでいる場合も考えられます。
他にも気になる症状がある、対策をとっても一向に症状が変わらないといったことなどがあれば、速やかに受診しましょう。