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最近話題の「男性更年期」って知ってる?

更年期と聞くと、40歳代~50歳代の女性に特有な症状だと思ってはいませんか?実は、男性にも更年期が訪れていることが、最近の研究でわかってきたのです。今回は最近話題の『男性更年期』についてわかりやすく解説していきます。

目次
  1. 1.男性の更年期ってどんなことが起きているの?
  2. 2.男性更年期をよく知ろう
  3. 3.更年期に気づかない男性達に、身近な女性ができること
  4. 4.まとめ

1.男性の更年期ってどんなことが起きているの?

男性の更年期ってどんなことが起きているの?

一般的に知られている更年期は、女性ホルモンの分泌バランスが年齢とともに変化することで起きるもの。
症状にはいろいろなものがありますが、ちょっとした体調不良やイライラ、動悸やのぼせ・ほてりなどが有名です。
では、『男性更年期』とはいったいどのようなことが起きるのでしょうか。
1つずつ解説していきます。

■男性に起こる変化
年齢を重ねるにつれて、男性も女性同様にホルモンバランスが変化します。女性ホルモンの男性版「男性ホルモン」の分泌量が減ることで引き起こされる、さまざまな症状を総称して男性更年期と呼んでいます。

■男性更年期は病気です
男性更年期は通称です。「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群:Late-onset Hypogonadism Syndrome症候群)」と呼ばれています。
30歳代後半~50歳代の働き盛りの男性であれば、誰にも発症する可能性があり、日本での患者数は600万人ともいわれています。

■男性ホルモンの働きと特徴 
男性ホルモン(テストステロン)は男性らしい体つきを作り、やせ型の体型を維持し、性機能を保つ働きを持っています。他にも判断力や認知機能を高める作用もあります。

■女性更年期との大きな違い
女性更年期はいくつかの女性ホルモンバランスの乱れに、身体が適応できないことでさまざまな症状が現れるものです。閉経とともにホルモンバランスが落ち着いてくると、女性の身体は適応し、症状はなくなっていきます。
しかし男性更年期の場合には、男性ホルモンの分泌が減ることが原因で症状が現れます。加齢とともに減少した男性ホルモンの量が自然に増えてくることはありません。男性ホルモンが不足している状態であれば症状の改善は期待できませんので、適切な治療を受ける必要があるのです。

2.男性更年期をよく知ろう

男性更年期をよく知ろう

■男性更年期の原因
年齢とともに男性ホルモンが減少することで、ゆるやかに症状が現れる男性更年期の原因です。
現代社会では仕事や家庭での強いストレスや環境の変化など影響し、男性ホルモンの分泌量を減らしてしまうことがわかっています。そのような場合には、男性ホルモンの減少に体がついていくことができないため、不眠や不安、倦怠感などうつ病に似た症状が強く表れるケースが増えています。

■男性更年期におこる症状
男性更年期の特徴的な症状は、やる気がなくなったり、意欲・興味がわかなくなったり、判断力が衰える、眠れない、怒りっぽくなるなど。一見すると「うつ病」にも似た症状です。
他には、筋肉が落ち太りやすくなり、30~40%の男性は精力の低下やぼっ起不全を自覚するようになります。さらに、男性ホルモンは「発毛作用」を持っているため、毛が薄くなるのも大きな特徴です。
テストステロンの減少は、血液中のコレステロールや中性脂肪の代謝を低下させてしまいます。その結果、肥満や糖尿病、脂質代謝異常、高血圧などの生活習慣病、心臓病、脳卒中といった命にかかわる病気のリスクが高くなるのです。

■男性更年期の治療
では、男性更年期はどのような治療を行うのでしょうか。
最近は男性更年期を専門的に診察するクリニックも増えてきていますが、一般的には泌尿器科で診察・治療を行います。

まずは男性更年期の症状を確認するためのチェックリストや問診を行い、採血で男性ホルモン(テストステロン)の値を測定します。遊離型テストステロンが8.5pg/ml以上~11.8pg/ml未満の場合、男性ホルモンが少なくなってきている(ボーダーライン)と判断され、さらに8.5pg/ml未満の場合、男性ホルモンが明らかに少なくなっていると診断されます。

男性ホルモンを補充する必要がある場合の治療方法として、男性ホルモンの注射・貼り薬、漢方薬などが行われます。女性の更年期の治療方法と、ほとんど変わりがありません。
ストレスが原因の場合には、同時にカウンセリングや服薬コントロールで、心理的な原因を取り除いていくことで、症状の改善を期待することができるのです。

3.更年期に気づかない男性達に、身近な女性ができること

更年期に気づかない男性達に、身近な女性ができること

男性更年期はまだまだ、一般的にはあまり有名ではありません。
やる気が出ない、集中力が続かないなどの精神的な症状の出現。体型の変化や薄毛、性機能の低下など、男性の悩みの原因が男性更年期であることも考えられます。

もし、配偶者やパートナーが症状に困っている場合は、男性更年期について調べるようにすすめる、受診を促すことをおすすめします。症状それぞれにいろいろな策を講じるよりも、男性更年期の適切な治療をおこなうことで症状の改善が期待できます。

症状が改善することで、イライラや不安定な気持ちが和らいできますので、男性更年期の治療をすることは、女性にとってのメリットも大きいのです。

さらに、うつ病を疑って、治療をしていても症状の改善に乏しい場合には、一定数ですが男性更年期の患者さんもいらっしゃいます。

近くにいるご家族から見ても、症状がなかなか良くならないと感じる、他の男性更年期の症状が目立つ場合には、男性更年期を疑ってみることもおすすめします。
 

4.まとめ

まとめ

女性にも男性にもおこる「更年期」。
つらいのは女性だけでも男性だけでもありません。
お互いの更年期について知っておくことで、そのつらさをいたわり合い、ストレスの少ない環境で更年期の治療を行うことができるのです。

一緒に更年期を乗り越えていくことで、よりよい老後をむかえることが期待できるのです。
男性更年期とも上手に付き合って、穏やかで充実した毎日をすごしていきましょう。
 

ライター:小田あかり
 

現役看護師として、腎臓・循環器、糖尿病患者さんの看護に携わっています。
約20年の看護師経験を活かし、医療ライターとしても活躍中です。

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